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ITを使って何を再現したいのか
経営が設計すべきITとは何か。ITによる再現性設計という発想。IT刷新・投資・組織・ツール判断の順序。本メディアではこれらを一貫して扱ってきました。
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第VI章の結論
経営は、ITを使って何を再現したいのか
この問いに答えられない限り、IT投資は迷走し、DXはスローガンになり、組織は属人化から抜け出せません。
IT投資の迷走
明確な目的がないまま、ツールや施策に振り回される状態
DXのスローガン化
実質的な変革を伴わない、掛け声だけの取り組み
属人化からの脱却不可
特定の人に依存し続ける組織構造
IT活用の最終目的を、ツールでも施策でもなく「再現対象」として言語化することが重要です。
ITは「業務」を再現するためのものではない
IT導入が失敗する企業では、再現したい対象が曖昧です。「業務を自動化したい」「作業を効率化したい」という目標自体は間違いではありませんが、本質ではありません。
業務は結果であって、再現対象ではない
業務が回っている理由は、その業務の裏に暗黙の判断基準が存在するからです。ITが再現すべきなのは、業務を生んでいる「判断」なのです。
重要なポイント
業務フローの自動化だけでは不十分です。その背後にある判断基準こそが、真の再現対象となります。
再現すべき対象は「経営の判断基準」
経営がITで再現すべきものは、極めて限定されています。それは「どんな場面で、どう判断する会社なのか」という問いに集約されます。
価格決定
価格をどう決めるのか。市場、コスト、競合をどう考慮するのか。
優先順位付け
優先順位をどう付けるのか。何を基準に判断するのか。
例外処理
例外をどこまで許すのか。どのような場合に柔軟性を持たせるのか。
これらは、トップの頭の中やベテランの経験に依存していることが多いのです。ITは、これをルール、データ定義、プロセスとして固定する装置です。
「速さ」を再現したいのか、「揃い」を再現したいのか
再現性と一言で言っても、目的は企業ごとに異なります。代表的には、次の3つがあります。
01
判断の速さ
迷わず決める
承認を待たない
即座に実行できる
02
判断の揃い
部門ごとの差をなくす
数字の解釈を統一する
例外判断を減らす
03
判断の持続性
人が変わっても回る
成長しても壊れない
再現可能な経営になる
何を再現したいのかを決めない限り、IT設計は始まらない
再現対象を曖昧にすると、ITは必ず暴走する
再現したいものを定義しないままITを導入すると、ツールが増える、データが増える、会議資料が増える、という状況に陥ります。
しかし、判断は何も変わりません。これは、ITが再現すべき対象を与えられていないからです。
1
ITはコスト扱いになる
投資効果が見えず、削減対象として認識される
2
情シスは守りに閉じ込められる
攻めの施策ではなく、保守運用に終始する
3
改革は失敗する
本質的な変革が実現せず、形だけの取り組みに終わる
核心的洞察
ITは「経営思想の複製装置」である
最終的に、この表現に行き着きます。
経営思想の複製装置
スピード重視か、再現性重視か、安定性重視か。これは経営者の価値判断であり、言語化されて初めて、再現可能になります。
1
業務フローに落とす
経営思想を具体的なプロセスとして設計
2
権限設計に埋め込む
判断基準を組織構造に反映
3
データ構造として固定
思想を情報システムに実装
再現対象を決めるのは、経営にしかできない
再現対象を決める問いは、情シス、CIO、CTOに委ねられません。なぜならそれは、「どんな経営を続けたいか」という問いだからです。
経営の専権事項
この判断は委譲できない、経営者自身が引き受けるべき責任です。
経営戦略
どんな経営を続けたいのか
価値判断
何を優先し、何を捨てるのか
責任
経営者が引き受けるべき決断
すべての出発点となる問い
ITを使って何を再現したいのか。この問いは、DXをどう進めるか、IT投資をどう判断するか、組織をどう設計するか、すべての出発点です。
DXの推進
デジタル変革の方向性を定める
IT投資判断
何に投資し、何を見送るか
組織設計
どのような体制で実現するか
経営戦略
再現したい経営の姿
業務でも、ツールでもない。再現したいのは、経営の判断そのもの
経営を何度でも再現するための仕組み
この答えが定まったとき、ITは暴走せず、情シスは武器になり、経営は再び選べるようになります。
ITは暴走しない
明確な目的に沿った、制御可能なシステム
情シスは武器になる
守りから攻めへ、戦略的な情報システム部門
経営は再び選べる
再現可能な経営により、戦略的選択肢が広がる
ITとは、経営を何度でも再現するための仕組み
その覚悟を、経営が引き取れるかどうかが、企業の未来を分けます。