経営とITを再接続するとは何か
本メディアは一貫して、なぜ経営とITは分断されたのか、なぜITは経営の武器にならなかったのか、なぜ情シス改革やDXは失敗し続けたのかという問いを追ってきました。
核心
問題の本質は「経営判断の空白」
その過程で明らかになったのは、問題の中心が技術でも、人材でも、組織でもなく「経営判断の空白」だったという事実です。
本稿では、メディア全体の最終結論として、「経営とITを再接続する」とは何を意味するのかを、スローガンや理想論ではなく、経営の役割定義として明確にします。

重要なポイント
技術や人材の問題ではなく、経営判断の構造的な欠落が分断の正体でした。
誤解
再接続とは「ITを近づけること」ではない
経営とITを再接続する、という言葉はしばしば誤解されます。ITを経営会議に出すこと、CIOを経営直下に置くこと、経営者がITに詳しくなること。しかし、これらは本質ではありません。
会話量の問題ではない
ITと経営の接点を増やすだけでは解決しません。
情報量の問題でもない
データや報告を増やしても分断は続きます。
構造の問題である
誰が何を決めるのかが曖昧だったことが本質です。
問題だったのは、意思決定の主語が欠落していたことが分断の正体だったのです。
本質
再接続とは「主語を経営に戻すこと」
経営とITが分断された最大の理由は、ITが経営判断の主語から外されたことにあります。ITは専門領域、ITは現場任せ、ITはコスト管理対象。こう定義された瞬間、経営は判断を手放し、ITは手段化し、情シスは守りに閉じ込められました。
1
経営が判断を手放す
ITを専門領域として切り離す
2
ITが手段化する
経営判断の対象から外れる
3
情シスが守りに閉じる
攻めの役割を失う
再接続とは、ITを再び「経営判断の対象」に戻すことです。
具体策
経営が引き取るべき判断を明示する
経営とITを再接続するとは、抽象論ではありません。それは、経営が引き取るべき判断を、明確に言語化することを意味します。
何を再現したいのか
判断基準を明確にする
  • 事業の核となる判断を特定
  • 再現可能な形に言語化
何を共通化し、何を委ねるのか
統合レベルを決定する
  • 全社で揃えるべき領域
  • 現場に委ねる領域
何を捨てるのか
不可逆判断を下す
  • 撤退する領域の明確化
  • リソース配分の最適化

重要:この三点を引き取らない限り、CIOを置いても、CTOに期待しても、DXを掲げても、分断は必ず再生産されます。
再定義
ITの役割を「意思決定装置」として再定義する
再接続において、IT側の役割も変わります。ITはもはや、業務を効率化する道具でも、コストを下げる仕組みでもありません。
経営判断を、構造として固定・再現する装置です。
01
判断基準を揃える
組織全体で一貫した判断を可能にする
02
判断速度を高める
迅速な意思決定を実現する
03
人に依存しない形に落とす
属人化を排除し、再現性を確保する
変化
再接続の結果、何が変わるのか
経営とITが再接続された企業では、次の変化が起きます。重要なのは、これはITが進化した結果ではないという点です。経営の立ち位置が変わった結果として起きる変化なのです。
1
IT投資の是非を説明できる
投資判断の根拠が明確になり、説明責任を果たせます。
2
ツール選定が迷走しない
判断基準が明確なため、選定プロセスがスムーズになります。
3
情シスが守りから解放される
攻めの役割を担い、事業に貢献できるようになります。
4
経営判断が属人化しない
構造として固定され、再現可能な判断が実現します。
原点回帰
再接続とは「新しくすること」ではなく「戻ること」
最後に、最も重要な点を確認します。経営とITを再接続するとは、新しい概念を導入することでも、海外モデルを模倣することでもありません。
本来、経営が担うべきだった役割に戻ることです。
経営の意思決定を支える
ITは最初から、経営判断を支援する装置でした。
組織を再現可能にする
属人化を排除し、構造として固定します。
事業をスケールさせる
成長を支える基盤として機能します。
それを専門領域に切り出した結果、分断が生まれたのです。
結論
答えは極めてシンプルである
「経営とITを再接続するとは何か」その答えは、極めてシンプルです。
経営が、ITに関する判断責任を取り戻すこと
ITから逃げない
専門領域として切り離さず、経営の対象として向き合います。
ITを主語に戻す
意思決定の主語として、経営がITを引き取ります。
再現したい判断を決め切る
何を固定し、何を再現するのかを明確にします。
経営を、再び経営に戻すこと
その覚悟があったとき、情シスは武器になり、ITは構造になり、経営は再び選べるようになります。
情シスは武器になる
ITは構造になる
経営は再び選べるようになる

経営とITを再接続するとは、
経営を、再び経営に戻すこと
に他ならない。