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CTOに戦略を期待する誤り
ITやプロダクトの重要性が増すにつれ、CTOが経営戦略をリードすべきだという期待が語られることが増えました。しかし現実には、CTOに戦略を期待するほど、戦略は不在になるという逆説が起きています。
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CTOの本来の役割とは
技術選定
適切な技術スタックの選択と評価を行います
技術的意思決定
技術的な判断の妥当性を担保します
技術負債の管理
長期的な技術的持続性を確保します
システムの持続性
プロダクトの技術的な継続性を保ちます
CTO(Chief Technology Officer)の本来の責務は明確です。CTOは決められた方向性を、技術として成立させる責任者であり、「何を目指すか」を決める役割ではありません。
戦略とは技術の話ではない
戦略とは、本質的に経営判断です。技術は戦略を実現するための手段であって、戦略そのものではありません。
01
どの市場で戦うのか
市場選択は経営の最重要判断です
02
どの価値に集中するのか
価値提供の焦点を定めます
03
何を捨てるのか
取捨選択が戦略の核心です
04
資源をどこに配分するのか
限られた資源の最適配分を決定します
CTOに戦略を期待すると起きる歪み
構造的な問題
CTOに戦略を期待した瞬間、次のような歪みが生まれます。これはCTOの暴走ではなく、戦略不在の空白を技術で埋めようとする必然的な反応です。
技術的に「できること」が戦略になる
技術ロードマップが経営方針の代替になる
プロダクト議論が技術最適化に引き寄せられる
結果として生まれる矛盾
技術的には正しいが、事業的には意味が薄い判断が積み重なっていきます。
戦略不在の空白を、技術で埋めようとする必然的な反応が、組織全体の方向性を歪めてしまいます。
CTOが戦略を語れる企業との違い
1
CTOが経営者である
経営者としての権限と責任を持っています
2
創業者がCTOを兼ねている
事業と技術の両方を理解しています
3
事業と技術が未分離の初期フェーズ
組織が小規模で役割が流動的です
一部の企業では、CTOが戦略を語っているように見えます。しかしそれは、特定の条件が揃っている場合がほとんどです。つまり、CTOが戦略を語っているのではなく、経営者が技術を語っているのです。
CTOが戦略を語っているのではなく、経営者が技術を語っているのである
経営の空白を作る構造
1
IT戦略をCTOに委ねる
経営が戦略責任を手放します
2
経営戦略とIT戦略が分断される
組織内で戦略の一貫性が失われます
3
構造的な問題が再生産される
CIO不全、情シスの守り化、IT改革の失敗が繰り返されます
CTOに戦略を期待する構造の最大の問題は、経営自身が戦略を引き取らなくなることにあります。IT戦略はCTOに、技術の話は専門家にと委ねた瞬間、経営戦略とIT戦略が分断されます。
正しい役割分担
経営の役割
戦略を決める
何を目指し、何を捨てるかを決定します
方向性を示す
組織全体の進むべき道を明確にします
CTOの役割
技術として成立させる
戦略を実現可能な技術に落とし込みます
技術的制約を明示する
可能性と限界を正確に伝えます
正しい構造は明確です。経営は戦略を決め、CTOはその戦略を技術として成立させます。CTOの価値は、戦略を技術で「壊さない」ことにあります。
CTOの真の価値
無理な戦略を止める
技術的に実現不可能な計画を早期に識別し、経営に警告します
持続可能な形に落とす
戦略を技術的に実現可能で、長期的に維持できる形に変換します
技術的制約と可能性を明示する
現実的な選択肢を経営に提示し、意思決定を支援します
戦略を描くことではなく、無理な戦略を止め、技術的に持続可能な形に落とすことこそが、CTOの本来の役割です。
組織が機能し始める条件
経営が戦略を引き取る
CTOが技術で実現する
CIO・情シスが正しく機能する
組織全体が成長する
この役割分担が明確になって初めて、CIO、CTO、情シスはそれぞれ正しく機能し始めます。戦略を誰に期待するかは、組織がどこで意思決定するかを決める行為です。
結論:責任は常に経営にある
CTOの価値を最大化するために、戦略を背負わせてはいけない
「CTOに戦略を期待する誤り」は、CTOを軽視する議論ではありません。むしろ逆です。CTOの価値を最大化するために、戦略を背負わせてはいけないのです。
1
経営が戦略を決定
方向性と優先順位を明確化
2
CTOが技術で実現
戦略を持続可能な形に
3
組織が正しく機能
各役割が最大の価値を発揮
戦略は経営が引き取り、CTOはその戦略を技術として成立させる。戦略を誰に期待するかは、組織がどこで意思決定するかを決める行為であり、その責任は常に経営にあります。